純金積立に売買ルールを作って30回以上回した記録——「±2%動いたら」で半年やって分かったこと

買ったまま、一度も売買していませんでした

純金積立を、3,000円ほどの少額から始めました。毎月決まった額を積み立てていくだけの、いちばん素朴な使い方です。

そして、始めてからしばらくのあいだ、私は一度も売買をしていませんでした。積み立てる設定をしたら、あとは口座に残高が増えていくのを時々眺めるだけです。価格が上がっても下がっても、こちらから何かをするという発想がそもそもありませんでした。

この記事は、その状態から「自分でルールを決めて回す」ほうへ移った半年ぶんの記録です。投資の専門家として書くのではなく、同じところで先に立ち止まった人間として、決めたルールと、実際に掛かった費用と、1回あたりいくらになったのかを、数字のまま置いていきます。うまくいった話だけを書いても、それは記録ではなく自慢話になってしまうので、思ったほど残らなかった部分も一緒に書きます。

ルールを作るきっかけは、価格が短期間で大きく動いた局面でした

きっかけは、2026年の1月末ごろです。私が見ている価格が、短期間でぐっと上がりました。

そのときに初めて、「ところで、これは売買しなくていいのだろうか」と思いました。積み立てているだけということは、上がっても下がっても何もしないということです。それが正しいのかどうか、自分では判断がつきませんでした。

ここで大事なのは、「上がったから売ろう」と思ったわけではない、という点です。そう思ったのなら、その次に価格が上がったときにも同じ判断ができるとは限りません。そのときどきの気分で決めていると、判断の良し悪しを後から検証できなくなります。必要だったのは、上がったときにどうするかを、上がる前に決めておくことのほうでした。

そこで、自分なりの運用ルールを文章にしました。ひとりで考えても堂々巡りになるので、AIに壁打ちの相手をしてもらいながら、条件を詰めていきました。

決めたルールは2つだけです

最終的に決めたのは、次の2つです。

  • 価格が±2%動いたら売買する(上に2%動いたら一部を売り、下に2%動いたら買う)
  • 金の比率は70%を下限にする(売るとしても、資産に占める金の割合がここを下回らないところで止める)

1つめが「何をきっかけに動くか」、2つめが「どこまでなら動いてよいか」です。前者だけだと、上がり続ける局面で売り続けて、金がほとんど残らないということが起こり得ます。後者の下限があることで、ルールに従っているのに一番持っていたいものが手元から減っていく、という事態を防いでいます。

逆に言えば、このルールは「安く買って高く売って儲ける」ためのものではありません。持ち続けることを前提にしたうえで、動いた分だけ少しずつ整えるための手続きです。ここを取り違えると、2%の値動きを追いかけて頻繁に売買する話になってしまいますが、実際にやっていることはそれとはかなり違います。

なお、この数字は私が自分の資産構成に合わせて決めたもので、誰かに勧められるものではありません。何%が適切かは、その人が何をどれだけ持っているかによって変わります。ここで参考になるとすれば、数字そのものではなく、「動く条件」と「動きすぎない条件」を対にして決めておくという形のほうだと思います。

先に調べたのは、手数料の掛かり方でした

ルールを決めるより前に確認したのが、売買のたびにいくら取られるのかです。ここを把握していないと、動くたびに損をするルールを作ってしまいます。

私が使っているのは田中貴金属工業の純金積立です。手数料は公開されているので、口座を開く前でも読めます(以下は執筆時点=2026年8月の内容です。最新は公式の手数料一覧で確認してください)。

  • 毎月の積立にかかる手数料は、積立額によって3段階です。月あたりの合計が小さいほど率が高く、大きいほど下がる形で、2.8% / 2.2% / 1.6%(いずれも税込)と決まっています。私の帯は1.6%です
  • スポット購入(積立とは別に、そのとき買う分)の手数料は無料と明記されています
  • 年会費は1,100円(税込)。このほかに、積立を休止していて残高だけを持っている場合に、年に一度1,320円(税込)の口座管理料がかかる仕組みになっています

ここで分かるのは、「積立にかかる率」と「ルールで回す分にかかる費用」は別物だということです。毎月の積立には率が乗りますが、そこから外れて動かす分は、同じ率で削られていくわけではありません。「純金積立は手数料が高い」という言い方をときどき見かけますが、どの操作にどう掛かるのかは分けて見ないと、判断を誤ります。

ただし、手数料がゼロなら費用もゼロ、という話にはなりません。買うときの値段と売るときの値段には差があるので、価格が2%動いたからといって、2%がそのまま手元に残るわけではありません。この差のぶんは、手数料の表には出てこない費用として毎回効いてきます。

買った値段と取得日を入れておくと、いま持っているモノの含み益がカテゴリを跨いで合計されます。

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半年で30回以上。1回あたりの手取りは数百円から数千円でした

ルールを作ってから半年ほどで、売買の回数は30回を超えました。月に5回前後という計算になります。売買履歴は表にして残してあるので、あとから何回やったかを数えられます。

そして、1回あたりでどれくらいになるのか。これが正直なところで、運用額が100万円規模だとすると、1回あたりの利益は数百円から数千円という水準です。損切りになる回もあるので、毎回この幅で増えるわけでもありません。

2%という値動きに対して手取りがこの程度に収まるのは、先ほどの「買う値段と売る値段の差」があるからです。数字を並べる前は、もう少し残るものだと想像していました。この落差を知らないまま回数だけ増やすと、動いている実感のわりに何も積み上がらない、ということが起こります。

では意味がないのかというと、そうは思っていません。1回で数百円でも、30回を超えて積み上がっていけば無視できる額ではなくなりますし、時間が経つほどその差は開いていきます。塵も積もれば山となる、を地でいく類の話です。ただしそれは「1回で大きく取る」設計を最初から諦めることとセットになっています。

ルールを作って一番変わったのは、価格を見る回数でした

半年やってみて、いちばん想定外だったのはここです。

ルールを決める前は、価格が動いたと聞けば気になって見に行っていました。見たところで何をするわけでもないのに、上がっていれば安心し、下がっていれば少し落ち着かない。見る時間そのものより、見たあとに何も決まらないことのほうが消耗します。

ルールを決めてからは、見る理由が「条件に当てはまったかどうかを確かめる」の一点になりました。当てはまっていれば動かし、当てはまっていなければ閉じます。判断が要らなくなったぶん、結果として、価格を見に行く回数が減りました。

ルールを作る目的は利益を増やすことだと思っていたのですが、実際に効いたのは、毎回ゼロから考えなくてよくなったことのほうでした。

ただし、これは口座の中しか見えていない話です

ここまで書いておいて何ですが、この運用には、記録として片手落ちなところがあります。

口座の中の残高は、業者の画面を開けば分かります。いま何グラムあって、評価額がいくらで、前日からどう動いたか。私が毎回確認しているのも、その画面です。つまり、口座の中にあるものは、放っておいても誰かが見せてくれます。

問題は、口座の外です。私は金の地金を手元に置いてはいませんが、そのかわり本を資産として持っていて、こちらは月に1万円から3万円分ほど買い足しています。買った値段は分かっていても、いまいくらなのかは、どこの画面を開いても出てきません。口座の外に出した瞬間に、残高照会という機能そのものが無くなります。

その結果どうなるかというと、金のほうは1グラム単位で把握できているのに、本のほうは何年も前の買値のまま止まる、という妙な状態になります。同じ「自分の資産」なのに、片方だけ解像度が高い。この不均衡が気持ち悪かったので、取得価格と取得日を入れておけば、金も本もまとめて含み益として並ぶ置き場所を、自分用に作りました。それがモノフォリオです。

まとめ

  • 積み立てているだけの状態から動くには、「動く条件」と「動きすぎない条件」を対で決めておくのが要でした(私の場合は±2%と、金の比率70%が下限)
  • ルールより先に手数料の掛かり方を調べる。積立にかかる率と、そこから外れて動かす分の費用は別物です
  • 手数料表に出てこない「買う値段と売る値段の差」があるので、2%動いても2%は残りません
  • 半年で30回以上、1回あたりは数百円から数千円。1回で大きく取る設計は最初から諦めています
  • いちばん変わったのは利益ではなく、価格を見に行く回数が減ったことでした
  • そして、この話は口座の中だけのものです。口座の外に出した資産には、残高照会がありません

もし同じように「積み立てているだけで、動いたほうがいいのか分からない」という状態にあるなら、いきなり売買のルールを決める前に、自分が使っているサービスの手数料一覧を一度読んでみてください。どの操作にいくら掛かるのかが分かると、決められるルールの形がかなり絞られます。私の場合は、それが順番として正解でした。

そのうえで、口座の外にも資産があるなら、そちらの買値だけでも一箇所に集めておくことを勧めます。モノフォリオは、金も本も取得価格と取得日を入れておくだけで、含み益が横断で合計されるように作ってあります。まずは口座の外にあるものを3つだけ並べてみてください。

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1画面で合計する。

金・時計・ウイスキー・稀覯本——取得価格と取得日を登録するだけで、カテゴリを跨いだ含み益をまとめて把握できます。

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※この記事について
本記事は個人の記録であり、特定の商品・取引を勧めるものではありません。記載した手数料等は執筆時点(2026年8月)に各社が公開している内容をもとにしており、変更される場合があります。取引の条件は必ず一次情報でご確認ください。価格は変動し、記載の数値は将来の結果を約束するものではありません。